いつの間にやら。もう10月も残すところ僅かとなってしまいましたね。はやいものです。
これが過ぎるときゅーと寒くなり始める。から冬支度を始めなきゃなのね。
セーターやマフラー、あたたかい飲みもの、お鍋、ブーツ…冬のものってとても好きだけれど、やっぱり年々寒さがこたえる、、というのも現実です。

10月になると、いつも、ああ!って思い出すエピソードがあります。過ぎ行くまでに今日はそれをひとつ。


本の落書きや書き込みって皆さんどう思われますか?
(ご自分で書き込まれるケースは別として)古本を手にされないとあまりわかりにくいかもしれないのですが、
子ども達によってぐるぐる勢いよく施された落書きから、丁寧に線を引かれたものなどいろいろあると思います。
人によっては読んでる最中に線が引いてあって気分を台無しにされたなどと聞いたこともあり不快に感じる方もいるんだなと…
うちでは古本も扱っているので仕入れ時に書き込みがあったりすると、やはり価値が下がるかなとかなり躊躇します。

しかし…個人的にはこれが結構嫌いじゃないんだな。
むしろ、前の持ち主はどんな人だったんだろう、どんな思いでこの書き込みをしたのかと思いを馳せたりもできるし、子どもたちの破天荒な落書きも愛があっていい。
英語の辞書のとある単語に赤線を見つけた日にゃあ、うひょー、当たり!ってなると思うんですけど、さすがに都市伝説なのかまだそれに当たったことはないですね。

そんな私が出会った本当に素敵な落書きがあるのです。
それは大好きな大島弓子さんのこちらの本にありました。


本の一番最後のページにあったので全部読み終えるまでは気づかなかった。

情熱的で脆くもある美しい詩のようなそれ。
こちらの本には「10月はふたつある」という作品も収録されているのですが、最初見つけたときあまりにもよくできているので、元々印刷されているものかと思ったほどです。それほど乙女心を鷲掴みの衝撃を受けたんです。
お世辞にも上手とは言えない男性の走り書きのようなそれ。
どう考えたって印刷なわきゃないんだけど、あまりによくできていたので信じ難くなってしまって知り合いの新刊本屋さんを訪れて、ラスト1ぺージをチェックさせてもらった。
無い。
まあ、あるわけはないんだけども、やっぱり何も書かれてなかった。
だから誰かによって後からボールペンで書き込まれたもの。
なんてあったかというと…

「10月のためになら
死んでもいいと思うし
10月こんないい季節に死ぬなんて
馬からしいと思う
その10月に君は生まれたのか」

これ。私には効果絶大だった。
なぜならわたくし10月生まれだから。
大島弓子さんの漫画の後ろに書き込まれていたというのがまたさらに愛しくなった。
どこのどなたか存じませぬが、誰がこのような素敵な文をこの本に遺してくださったんでしょう。そして、偶然とは言え、10月生まれの私がこの本を手にしたというのがうれしくてうれしくて。
少し粗雑に走り抜いたように書かれた文字。
ときおり密かにこの書き主がふわりと現れやしないかと空想してみたりもするのです。10月が来るとね。

10月の君、10月の君…
誰か名乗りをあげてくれやしないかなあなんて。
少々、少女趣味が過ぎるこのエピソード…それでも愛おしくって時折この本を抱き締めたくなるものです。

素敵な本って、ほら、抱きしめたくなるでしょう?

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